TCGの大会の試合が従属試行であることを用いた優勝確率の向上

以前の記事

http://d.hatena.ne.jp/snow-press/20180102


では、マッチ戦ではどんなデッキにも同じくらい勝てるデッキの方が勝率のバラつきがあるデッキよりも有利であると主張した。
では1本勝負では本当に差はないのだろうか?


分かりやすい例で考えることにする。


一つはどんなデッキにも勝率2/3のデッキx
もう一つはデッキAには絶対勝て、デッキBには絶対勝てないデッキyである。
今回デッキAは環境に2/3、デッキBは環境に1/3いるとする。
この場合、1戦目の勝率は両方2/3である。
なお、デッキAとデッキBが戦った場合の勝率はどちらも1/2とする。
4人でのトーナメント戦を考える。


優勝確率


デッキx

(2/3)^2=4/9

デッキy

2/3*1/2=1/3


よってxの方が優勝確率が高いと考えられる。
しかし1本勝負だと勝率に差はないはずである。
これはおかしいと思う人もいるだろう。

では4位になる確率を考える。


デッキx

(1/4)^2 = 1/16

デッキy

0


最下位にならないということを目的とするならデッキyの方が良いという結果になっている。


このような状態が生じる理由は、大会での試合が独立試行ではなく従属試行であるからである。
勝率にバラつきがあるデッキを使っている場合、自分が勝ったということは、当然有利な相手(カモ)と当たった確率が高いということになる。
その当たった相手とは絶対に再び戦うことはないのだから、次の試合はカモと当たる確率は低くなっている場合が多いのである。
逆に自分が負けた場合、次はカモと当たる確率が少しだけ高くなるはずなのだが、そもそも負けているのでその「次」が存在しないのである。(ただし3位決定戦のような場合を除く)
よって1本勝負でも勝率の幾何平均が高いデッキを用いる方が、優勝確率を上げるという目的の上ではちょっとだけ有利である。



<ここからが本題>




しかしここには一つ制約がある。それは、他のデッキ同士の勝率はみな50%と仮定していることである。
上の例ではAとBが戦った場合の勝率を1/2と仮定したが、ここを仮にデッキBがデッキAに必ず勝てるようなデッキであるとすると、yは絶対に優勝することができない。また、xは4/9で優勝できる。
一方AがBに絶対勝てるとしたらどうだろうか。xの優勝確率は変わらず4/9であるが、yの優勝確率は2/3=6/9まで跳ね上がることになる。
この例においては、デッキAの優勝確率は勝率のみに依存するといえるのに対し、Bの優勝確率は自分のデッキの勝率だけでなく、他のデッキ同士の勝率にも依存しているといえる。

つまり、優勝確率を上げるためには


・自分のデッキがどのデッキにどれくらい勝ちやすいのか?
・環境にどのデッキが多いのか?


だけでなく、(例え自分が使う予定がないようなデッキであっても)


「環境に存在するデッキのどれが強い(弱い)のか?」


という情報を把握する必要があるのである。

前者2つは、初期状態(つまり最初の試合)における勝率を決定する。対して後者は、状態遷移(すなわち1試合行うという動作)後の勝率を決定する要因となることになる。

これを用いる、つまり、

1.自分が使わないデッキ同士の対戦の結果の傾向を把握

し、

2.生き残る確率が高いと思われるデッキに有利なデッキを組む

ことで

3.優勝確率を向上させる(後の試合の勝率を向上させる)

ことが可能なのである。

(誤解する人がいそうなので言っておくが、環境内に存在するあるデッキの数が多いことと、そのデッキが強いことは別である。環境内にあるデッキが多いということは、最初に勝率という形で織り込まれることになる。一方デッキが強いということは、予選1戦目から決勝にかけてそのデッキの割合がどんどん増大していくことになる。
例えば環境に存在するあるデッキが総参加者の5割くらいいるような環境であるとしたとしても、そのデッキが他の全てのデッキにガンメタされていた場合、予選時より決勝Tで割合が減っている可能性がある。この場合そのデッキは強いとは言えない。(もちろん多数がそのデッキを使っているので、対策する価値はあるといえるのだが…)すなわち、そのデッキの"勝率"が重要である)


したがって、
「あるデッキCには勝てないが、別のあるデッキDにはかなり勝ちやすい」
というデッキは、同じ勝率の、どんな相手にも勝率が同程度のデッキに比べ、(デッキDが環境内に存在する他のデッキより有利と考えられる環境において)利用価値があるといえるのである。


なお上の例はトーナメント戦であるが、予選でも同様なことがいえる。
予選では勝った者同士が次で戦うことになるからである。


「同じ勝率なら、苦手なデッキにもワンチャンある方が有利」
という理論は場合によっては(その苦手なデッキが環境内に存在する他のデッキに強くない場合)誤りであることが分かってもらえたと思う。



最後になるが、この生き残る確率が高い(と思われる)デッキを知っていることによる優位性は、後半になるごとに高まっていく。すなわち、参加者の多い大会であればあるほどこの情報を知っている方が良いということになる。また、同様に1本勝負よりマッチ戦の方が良い。なぜなら、後者の方が実力の高いデッキがより勝ち残りやすいからである。

中学生でもわかるTCGでの1本勝負とマッチ戦の違い

この記事は

http://d.hatena.ne.jp/snow-press/20180102

で書いた内容を分かりやすくしたものです。
かなり分かりやすくしたつもりですが、これでも分からない場合これ以上の説明は難しいかもしれません。




突然ですが、


・どんなデッキにも4回中3回勝てるデッキA


と、


・デッキCには絶対勝てる、デッキDには半分しか勝てないデッキB


デッキCとデッキDに同じ数対戦するとしたらどちらが強いと思いますか?


「CとDに2回ずつ対戦するとしたら、Aは合計3回勝てて、Bは、Cには必ず2回勝てて、Dにも1回勝てるんだから同じじゃない?」


1本勝負なら確かにその通りです。
しかしマッチ戦だとこれは正しいとは言えなくなるのです。
計算は省略しますが、マッチ戦で勝てる確率は、デッキAの方がデッキBより9%くらい高いです。
(計算を見たい方は一番上にある記事をみてください)


これが何故なのかを考える上で一度、特定のデッキに絶対勝てる、つまり勝率100%のデッキというものについて考えてみましょう。
1試合で必ず勝てるのなら、マッチ戦でも必ず勝つことができます。
しかし考えてみてください。


「本当に勝率100%も必要でしょうか?」


もちろん、勝率99%よりかは勝率100%の方がよいでしょう。
しかし勝率100%ということは、必ず2回の勝負だけで終了することになります。
これってもったいなくありませんか?せっかく勝率が高いデッキを使っていて、
3回中2回以上勝てばいい「だけ」なのにも関わらず、残り1試合の機会をわざわざ無駄にしているのです。
勝率100%とまでは行かなくとも、勝率90%くらいあれば、運悪く一度負けることはあるかもしれませんが、かなりの確率で2回は勝てるはずです。勝率が100%のデッキに比べ10%もおちているにも関わらずです。
なのでこの勝率100%のデッキに対してちょっとくらい勝率が落ちても、他の勝率が高くないデッキへの勝率が上がるのなら、そちらの方が良いと思いませんか?
そちらの方が、"3回勝負"という点をより有効活用でき、マッチ戦で勝てる確率が上がると思いませんか?
このような理由から、"勝率"は、マッチ戦では一本勝負に比べると有効性が落ちるのです。


では、どのようにすればマッチ戦で勝てる確率が上がるのでしょうか。
先ほどの例では、勝率が100%のデッキに対して勝率を落とし、その分他のデッキの勝率を上げる方がいいと言いました。つまり、


勝率が上の方に対しては勝ちにくくし、下の方に対してはその分勝ちやすくする


ということです。
これの理想形は、どんな相手にも同じ勝率となることです。
つまり各デッキタイプに対しての勝率の"バラつき"(変動)が小さいほど、マッチ戦での勝率が上がるのです。
バラつきを小さくすることで、3回勝負という点をより有効に活用できるのです。
よって、どんなデッキにも4回中3回勝てるデッキAのほうが、相手によって勝ちやすさが大きく変動するデッキBよりもマッチ戦で勝ちやすいといえるのです。


この"バラつきの小ささ"は、3回勝負と5回勝負、どちらの方に対してよりマッチ戦の勝ちやすさに影響を与えるでしょうか?
1本勝負に比べ3回勝負の方が、影響度が大きいですから、同様に3回勝負より5回勝負の方が影響度が大きいはずです。
つまり、マッチ戦での試合回数が多くなっていくにつれ、"バラつきの小ささ"の重要度が増していくのです。


これを様々な戦略に利用することを考えましょう。
例えば
「あのデッキは勝てないし諦めよう。その分強いデッキにより勝てるようにしよう。」
という戦略について考えてみましょう。この戦略では、勝てないデッキにより勝てなくなり、強いデッキにより強くなってしまうので勝率のバラつきが拡大してしまいます。
よって1本先取に比べ、マッチ戦にはあまり適さないことになります。


逆に
「有利なデッキには腐ってしまうけど、苦手なデッキにも勝てるように、対策するカードを入れよう」
という戦略は、勝率のバラつきを小さくするので、よりマッチ戦に適した戦略と言えるでしょう。


もちろん、バラつきが小さくなるからといって、不利なデッキにちょっとしか勝率が上がらないのに、有利なデッキに対する勝率がガクッと落ちてしまうようではいけません。何事もバランスが大事です。


まとめると、マッチ戦では


「自分のデッキがどのくらい勝ちやすいのか?」


だけでなく、


「対戦する相手によって勝ちやすさがどのくらい変動するのか?」


が重要となるということです。


最後になりますが、以上の話は少なくとも自分が半分以上は勝てることが前提となっています。自分が半分も勝てないプレイヤーなら、むしろ"3回勝負"であることを相手に利用させないため、バラつきが大きいデッキを使った方が良いです。
ただ、こんなことを考えている暇があるのなら、まず50%は勝てるようになるよう努力したほうがいいかもしれません。
また、予選より決勝の方が勝つのは難しくなると考えられるので、予選の時点で半分よりちょっと勝てるくらいの人だと、この理論を用いることは難しくなってしまうのが分かるかと思います。


また、サイドデッキの存在する遊戯王のような、1試合目と2試合目以降でデッキの性質が変わってしまうようなゲームでは、条件を全く変えず2試合目以降を行うDMなどに比べたら、このような考え方を利用するのは多少難しくなってしまうと考えられます。

モダンポートフォリオ理論の流用によるTCGにおけるチーム勝率の向上

チーム戦で2-1で勝ち続けることを「上手く噛み合った」と表現する人が多いようである。
また、それは運が良かった結果たまたま生じたように書かれることが多数のように見受けられる。
これを意図的に生じさせる方法はないのだろうか?
以下は(ある程度)意図的に「噛み合う」状態を生じさせる方法についての記述である。


ポートフォリオ理論というものがある。
要約すると相関の小さいものに投資を行うことでリターンをそのままにリスクを抑えることが可能という理論である。
これをTCGのチーム戦に流用することを考える。



(以下では”相関”とは、チームのメンバー同士の勝率の相関のことと定義している。
すなわち相関が大きいとは、同じデッキタイプのデッキに対し、チーム内の他の人が勝っていれば自分も勝つ傾向にあり、負けていれば自分も負ける傾向があることを意味する。)


以降では具体例を示しながら言いたいことを説明していく。


今ここにXさん、わいさん、Zさんで構成された3人チームがあったとする。
ここでは以下の3点を仮定する。


  ・Xさん、わいさん、Zさんは全く同じプレイングレベルである。
  ・チームで相性が良いデッキには100%、相性の悪いデッキには40%勝てるデッキAを保持している。
  ・相性が良い&悪いデッキと当たる確率がそれぞれ2分の1である。


デッキAの勝率は70%となる。


そして今回最も重要となる点を仮定する。それは


  「相手のチームは全員同じデッキを使う」


である。すなわち敵チームメンバーの勝率の相関が最大の時である。



この場合についてのチームの勝率について考えていく。


まずXさん、わいさん、Zさん共にAを使用したとする。
全員同じデッキのため、メンバー同士の勝率の相関は最大となる。
この場合、相性の良いデッキを使うチームに対しては自分のチームは100%勝つことが出来る。
一方相性の悪いデッキには三人とも40%の勝率となり勝つためには少なくとも2人が勝率40%の網を潜り抜けなければならない。


次にZさんがチーム内の相関を小さくするために、「Aにとって相性の良いデッキ」に30%「Aにとって相性の悪いデッキ」に60%の勝率のデッキを使用したとする。
このデッキのトータルでの勝率は45%となる。このデッキをBとする。
この場合においてのチーム内の内訳はA、A、Bとなる。このチームの勝率を考える。
「相性の良いデッキ」と当たる場合、A使用者が2人いるのでチームとしての勝率は変わらず100%である。
一方「相性の悪いデッキ」と当たる場合、三人の勝率はそれぞれ40%、40%、60%となる。
ゆえに最初の場合に比べ有利である。


ここで特筆すべきは、Aの個人での勝率は70%なのに対しBはたった45%なことである。


「「単体では半分も勝てない弱小デッキが、チームに組み込んだ途端勝率70%のデッキよりもチームの勝率を上昇させる役割を担っている」」のである。


ここから、デッキの相関の高いチームが相手だと分かっている場合に、チームとしての勝率を上げるには必ずしも勝率が高いものを使用することが正しいとはいえないことがいえる。
またチーム内で相関の小さい、理想的には逆相関のデッキを用いることでチームの勝率を向上させることが可能であるといえる※1。


なぜこのような現象が起こるのか疑問に思われる方もいるかと思う。
これはチームで目指すのが「それぞれの個人の勝ちの数を最大化すること」ではなく「個人の勝敗の合計で2勝1敗以上となる確率を最大化すること」だからである。
いくら3勝0敗になる確率が減少しようとも、2勝1敗となる確率がそれ以上に増加すればよいのである。
より直感的に分かりやすい説明を試みると


 3勝0敗は勝ち星の無駄であり、その内の1勝を1敗にして本来1勝2敗である方に振り分ける方が良い
 そしてそのためには、相手チームが全員似たようなデッキを使用すると仮定すれば、


 隣の人が勝って(負けて)いるときに自分も勝ち(負け)やすい


 状況より


 隣の人が負けているときにこそ勝つ


 状況の方が良い
 (ただし、少なくとも一つのデッキが勝率50%以上であることが必須)


ということになる。


以上が敵チームの相関が強い、つまり似たようなデッキを使っている場合の話である。
それでは相関が強くないときはどうだろうか?
相関が強くないということは横の人と自分の勝ち負けに関連が見られない状況ということになる※2。
関連が見られないのであれば、自チームの相関など考える必要はなく勝率のみが重要ということになるのである。


ここまで読んできた人の中には
「相手のチーム内のデッキの相関の強さなんて対戦しないと分からない」
と考える人もいるかと思う。
当然、分布を完全に予測することはまず不可能である。
しかし過去のデータなどからある程度の傾向であれば推測できるのではないだろうか。
ただ、このようなデータをまともに集計しているところは皆無だと思う。
(デッキタイプ毎の総数なら集計していると思うが、それでは意味がない)
よって実際に参加し傾向をつかんだり、参加者の心理を読むことが重要である。
(これは個人的な考えであるが、恐らく何も考えずにバラバラなデッキを使用するチームが多数だと思う。この記事にあるようなことを理解している人はあまりいない。よって同じデッキを使うより分散させる方が何となく安定感があり良さそうと考えると思われるからである。5人全員同じデッキ というチームしかいない状況よりは 5人全員バラバラ というチームしかいない状況の方が想像できる。
バラバラなデッキを使用する、すなわち相関が小さいチームばかりであれば、素直に勝率が最も高いデッキを全員で使用するのが楽である。)
もちろん、仮に相関が完全にランダムで推測できないとするなら、この記事は机上の空論である。
(よってそのように考える人は後の文を読まずにページを閉じていただきたい。)


また新たに言えるのは、


・相関の強いチームを作るのは容易であるが、逆相関のチームを作るのは難しい


ということである。これは3人とも同じデッキを使えば完全相関のチームが出来上がることからして自明である。
また逆相関のチーム、すなわちとなりの人が負けていたら自分は逆に勝ちやすいという関係のチームを作るのはかなり難しいようにも思う。
ここからいえるのは、チームの勝率だけを考えるなら、勝率75%のデッキを一つだけ作り3人同時に使用するよりは勝率75%のコンセプトの違うデッキを3つ作り別々に使用するほうがいいということである。
相手のデッキがバラバラの時は前者と勝率が変わらず、似たようなデッキの時は前者に比べチームの勝率を上げられるのである。
しかし、特性が違うかつ勝率の高いデッキを三つも作り上げるのは難しいと思われる。
よってデッキの勝率と相関性をみながら使用するデッキを決める、という形になるのが現実的である。


議論をまとめると、


・チーム内でのデッキの相関を小さくすることでチームの勝率の向上を図ることが出来る


・そしてその傾向は、相手のチーム内の相関の強さに比例する


ということになる。
また加えて言うと、3人チームより5人チーム、5人チームより7人チーム、…の方がこの傾向は強くなることになる。


チーム戦だと、個人個人がどのようなデッキを使用するか、ということに注目しがちであるが、
「全体としてどのようなデッキ構成にするのか?」
ということも重要になってくるように思われる。
「チーム戦は個人戦を3人分やるのと変わらない」と言う人もいるかもしれないが、上記のようなことから明らかに異なる。(相手チームの相関に一切のバイアスが存在しないというなら話は別だが…)
また個人の意見を尊重し自分の好きなデッキを使う、ということを最初から決めているチームもあるようであるが、これは上記のような要素を考慮に入れず放棄していることになる。
さらに8−0、7−1、4−4 みたいな戦績のチームで、4−4の人が戦犯、とは一概にいえない。
上の例だとXさんとわいさんは勝率の低いデッキを使うZさんに感謝すべきである。


敵チームのメンバーの勝率の相関係数にバイアスが存在する場合、敵チームの相関係数と自チームに存在するデッキの勝率に基づき、その勝率を保ったまま自チームのメンバーの勝率の相関係数を変動させることで自チームの勝率を上げたりデッキ開発の労力を抑えることが可能である。
以上が勝率の相関を利用したTCGチーム戦における勝率の向上・デッキ開発の労力減少方法である。


完全に余談だが、この理論は、個人の能力では劣る人で構成されたチームであっても、力を合わせることで打ち勝つことができる可能性を持っているという"綺麗事"が、感情論ではなく理論的に成り立っていて好きである。


なおこれまでの理論はチームのデッキの勝率が(少なくとも一つは)50%を超えることを前提としている。ゆえに頭わるわるチームは参考にすべきではない。
頭わるわるチームは相関が強いチームと対決し、味方と自分のデッキが逆相関である場合他の人が運よく勝った場合自分は負けやすいという最悪な状態になる。
よって頭わるわるチームは自分達が頭わるわるであることを素直に認め、最も勝率が高いデッキを3人全員が使用したほうが良い。
(もっとも、こんなことを考えている暇があるならまず勝率が5割を超えるデッキを考えた方がよっぽど近道だと思うが…)


最後に書いておくが、この記事に書いてあることは逆相関のチームが殆ど存在しないことを前提としている。
(逆相関のチームを作るのは難しいと考えられるため)


追記


この記事が最も役に立つのは、決勝でも勝率が50%を超えることが期待されるような上級者チームか、予選の時点で一番強いデッキでも50%も勝てない頭わるわるチームのどちらかである。なぜなら決勝に近づくにつれ、勝率は下降していくことが予想されるからである。例えば予選で勝率53%のようなチームは、デッキの分散が予選では功を奏したが、決勝では勝率が50%を切り逆効果になってしまったというようなことが起こり得てしまう。


追記2


幾何平均勝率という概念を前記事で紹介した。幾何平均勝率が高いほどマッチ戦の勝率が高いという理論である。
ここで、チーム戦は3人で勝負するのだから幾何平均勝率が高いほうが有利と考える人もいるだろう。
それでは、幾何平均勝率が高いデッキを使えば必ずチーム戦でも勝率が上がるのだろうか?


今ここに


・どんなデッキにも勝率75%のデッキA


を3人全員が使用したチームx



・デッキA
・優位なデッキに勝率100%、不利なデッキに勝率50%のデッキB
・デッキBの優位なデッキに勝率50%、デッキBの不利なデッキに勝率100%のデッキC


をそれぞれ一人ずつが使用したチームyを考える。

算術平均勝率は全てのデッキにおいて変わらない。一方幾何平均勝率はデッキAが一番高く、デッキBとデッキCはAより小さい。
ゆえにチームxの方が強そうである。
全員が同じデッキを使用したチームに対する勝率を実際に計算してみることとする。


チームx

3/4*3/4+(1/4*3/4*3/4)*2=27/32

チームy

(1/4*1/2)*(1/2)*2 = 1/8(敗率)
1-1/8=7/8

(28/32) > (27/32)

であり、なんとチームyの方が強いのである。
(なお、敵チームの使用デッキがバラバラな場合、勝率は同じである。)
チーム戦の場合、幾何平均勝率は、勝率を最大限に高めるという観点からはあまり有効でない。
なぜなら、マッチ戦では一戦目で使用したデッキを必ず2戦目でも使わないといけないが、チーム戦ではそれがないからである。
では、幾何平均勝率は無用の長物なのだろうか。いや、そうではない。
考えてみたらわかると思うが、チームxとチームy、どちらの方のチームがデッキ開発しやすいかというと、当然xである。
xは勝率75%のデッキを一つ(これも難しいと思うが)作るだけでよい。
それに対し、yはそれに加え、勝率が同程度のデッキ、さらにそのデッキの勝率と逆相関の勝率を持つデッキを作らないといけないのである。
しかもこのような苦行を経てもなお、例えばこの例の場合、勝率が3%しか上がっていないのである。
更に、これは相関が最も強い時の場合である。敵チームがバラバラのデッキの場合、このような努力は完全に無駄である。
これは少なくとも自分のような頭わるわるプレイヤーには難儀である。
ここから、作れたデッキの幾何平均勝率が高いほど、デッキ開発の難易度に対するチーム勝率が高いことが考えられるので、幾何平均勝率も多少有用であるといえるだろう。

…と思っていたのだが、冷静になると、最初に作るどんなデッキにも75%とれるデッキ、というのもかなり難しいように思う。
よって、幾何平均勝率が高いデッキが出来たのなら、全員同じデッキを使い、そのようなデッキを作れないのであれば、補いあうようなデッキ構成にする戦略をとれば良いと思われる。
勿論、相関が小さいチームが圧倒的大多数なのであれば、このような思考は一切必要なく、(算術平均)勝率が最も高いものを一つだけつくれば充分である。
なお何度もいうが、これらは勝率が50%を超えたデッキを作れることが前提の話である。


まとめると、


・チームに存在するデッキの幾何平均勝率が高いほど、相関性を生かしたチームの勝率向上の効果は減少する


・代わりに、同じデッキを使用した時の相関性の高いチームに対する勝率は高い傾向にある


である。



※1 


一人ひとりの単純な勝ちの数の合計が上昇するわけではない。
単純な勝ち数だけ比較するなら保持しているデッキの中で最も勝率が高いものを3人全員が使用するほうが良い。
この点については、特に「予選で同じ4勝1敗なら個人の負けの数の合計が少ないほうが予選突破」のようなレギュレーションの大会で注意が必要。


※2


正確には相関係数が負の値、すなわち逆相関にある場合は異なる。


補足:
ここでいう相関とは、勝敗についての相関である。
つまり黒緑速攻を2人、赤単速攻を1人とするような分散方法は、デッキに含まれているカードは40枚とも違うが、正しいとはいえない。
黒緑速攻が不利とするデッキは大抵赤単速攻も不利だからである(つまり相関が大きい)。


補足2:
ここでは
・チーム戦では相談できるので同じデッキを使うほうが理解が深まっていて勝率が上がる
・同じデッキを使っていたら隣を見られて入っているカードがばれ勝率が下がる
などといった事象は一切無視している。


補足3:
ここでは相関の分布がどの試合においても一定であることを前提としている。よって予選時と決勝トーナメントで大きく異なる傾向がみられる場合などは別の戦略をとることも考えられるが、複雑すぎて分からないので有能な別の人が記事を書いてくれることを期待し無視している。

一本勝負-マッチ戦間の差異と幾何平均勝率

デッキの評価尺度として大多数が"勝率"を使用していると思われる。
果たして勝率を大きくすれば勝てる確率が必ず大きくなるのだろうか?


またTCGでの一本勝負と二本先取の違いとして槍玉にあげられやすいのは、二本先取の方が実力のあるプレイヤーが勝ち抜きやすいということである。
果たして違いはこれだけだろうか?


結論からいうと、これらは誤りである。


これで終わると罵詈雑言がとんできそうなので、具体例を挙げながら説明を行う。



今ここに勝率75%のデッキが二つある。
一つはどんな相手にも勝率75%というデッキA、もう一つは優位なデッキに100%勝つことが出来、不利なデッキにも50%勝てるデッキBである。
ここでは優位なデッキにも不利なデッキにも2分の1で対戦するものとした。
これらのマッチ戦での勝率を考える。


計算すると

(勝率)=(1○2○の確率)+(1○2×3○の確率)+(1×2○3○の確率)

Aは(3/4*3/4)+(3/4*1/4*3/4)+(1/4*3/4*3/4)=27/32
Bは
優位なデッキ(1/2で当たる)
1*1+0+0=1
不利なデッキ(1/2で当たる)
(1/2*1/2)+(1/2*1/2*1/2)+(1/2*1/2*1/2)=1/2
よって
(1/2*1)+1/2*1/2=3/4


となり,(27/32)>(24/32)である。


よって1試合では同じ勝率であるにもかかわらず、マッチ戦では前者のほうが勝率が高くなる(しかも約10%も)。勝率が変わらないのにマッチ戦の勝率は上がっているため、上の計算が直感的に間違っていると感じる人もいるだろうが、事実である。


なぜこのような事が生じるのか?
それは勝率が「算術」平均で算出されているからである。
(例えば環境に3分の1いるデッキに40%勝てて、同様に3分の1で60%、3分の1で50%勝てる時、トータルで50%の勝率、というのは算術平均)
マッチ戦の勝利条件は「半分より勝つこと」である。
デッキの勝率が50%を超えている場合、マッチ戦の勝率を考えるにあたっては、


1試合当たりの算術平均勝率を最大化する


のでは不十分である。さらに


1試合当たりの幾何平均勝率(後述)を考慮


しなければならないのである。


いくら勝率が大きかろうが、勝つときは常に3勝0敗、負けるときは常に1勝2敗のデッキは、
勝つときは常に2勝1敗、負けるときは常に0勝3敗のデッキに比べ勝率に対するマッチ戦の勝利率が低く明らかに非効率である。
この効率の良さも評価に含めた尺度が幾何平均勝率である。
よってマッチ戦のようなn本先取では評価尺度として算術平均勝率だけではなく「幾何」平均勝率も用いるべきである。
なお幾何平均はσを標準偏差として
(算術平均)^2-(σ^2)の平方根
で近似される。
(数学にはそこまで詳しくないので、この式は間違っているかもしれないが、これに近い形になるはず)
一応いっておくと標準偏差とはバラつきの大きさのことである。
 

デッキの算術平均勝率が50%を上回る場合、幾何平均勝率の最大化は、同条件での連続的な試行における長期的なマッチ戦での勝率を最大化する。
すなわち、n本先取 において、nが限りなく大きいとすれば、幾何平均勝率が最大となるものを選んだ方が良いということになる。
しかし、現実ではn=2となることが多い。よって、幾何平均勝率が最大となるデッキがマッチ戦の勝率を最大化するということはいえない。幾何平均勝率と算術平均勝率の両方を見て判断すべきである。
また、nの数が増大するにつれ、算術平均勝率に対して幾何平均勝率の重要度が増していくことになる。


最初の例で考えると、Aは分散が0であるため、幾何平均勝率も算術平均勝率に一致する。
一方Bは分散が0でない値をとるため、幾何平均勝率は確実に75%未満となる。
よってマッチ戦の勝率ではA>Bとなるのである。


ここから一つの定理が導ける。それは


 「マッチ戦における勝率は各デッキタイプに対する勝率の分散の大きさが大きいほど小さくなる」


というものである。
わかりやすくいうと、勝率がほぼ同じなら、安定して65%勝てるデッキの方が、あるデッキには9割勝てるけど別のデッキには4割しか勝てない といったバラつきのあるデッキより「マッチ戦では」勝率が高いということである。
また、勝率が低くても、幾何平均勝率さえ上回っていれば、勝率が高い他のデッキに比べてマッチ戦での勝率が上となる場合もあるといえる。


この定理から様々な応用が可能となる。
例えば勝ちづらい相手に勝つためメタカードと呼ばれるカードをデッキに投入するという事例について考える。
メタカードを投入するということは勝ちやすい相手に勝ちにくくなる分勝ちにくい相手に勝ちやすくなるということになる。
つまり勝率の分散が小さくなることが期待される。
一本勝負では分散はどうでも良く勝率のみを考えれば良い。
したがって勝率が低くなってしまう場合は採用を見送るのが正解である。
しかし二本先取の場合、勝率が上がる場合は勿論、勝率が下がる場合でも二本先取においての勝率は上がる可能性さえある。
すなわち、
メタカードの採用は一本勝負よりもマッチ戦で猛威を振るうという結論が導き出せるのである。
(勿論、分散が大きくなる場合は別である)


さらに別例として、あるデッキを捨てて、他の勝ちやすいデッキには確実に勝てるようにする、という戦略について考える。
これはマッチ戦では勝率が落ちかねない行為である。なぜなら分散が大きくなる(幾何平均勝率が小さくなる)からである。
よってこのような戦略は1本勝負で採用するほうが良いと思われる。
以前MTGの記事か何かで、八十岡さんという方が
「↑のような戦略は間違いで、どんな相手にも55%は勝てるデッキを作る」
と述べていた記憶があるが、これは幾何平均勝率を上げる戦略であり、レギュレーションがマッチ戦であれば極めて理にかなっているといえるだろう。


なお上記の理論は自分のデッキの勝率が50%を超えることを前提としている。ゆえに頭わるわるプレイヤーは参考にすべきではない。
頭わるわるプレイヤーは二本先取においては自分が頭わるわるプレイヤーであることを素直に認め、
逆に分散が大きくなるようなデッキを使用したほうが良い。
すなわち、この相手にはほとんど勝てないが、この相手には70%勝てる といったデッキである。
もっとも、こんなことを考えている暇があるならまず勝率を5割以上にするように考えた方がよっぽど近道だと思うが…


(なぜ勝率50%を超えているか否かで変わるのかは、マッチ戦をn本先取(nは限りなく大きい自然数)と仮定して、勝率が51%と49%の場合を考えてみればよいと思う。
勝率51%の場合、どんな相手にも勝率51%であればマッチ戦での勝率は100%となり、分散が大きければ勝率が49%以下の相手も出てきてマッチ戦勝率が100%を切るのが分かるだろう。
逆に49%の場合、どんな相手にも勝率49%であればマッチ戦での勝率は0%となり,分散が大きければ勝率が51%以上の相手も出てきてマッチ戦勝率が0より大きくなるのが分かるだろう。)


また遊戯王のようにサイドデッキがルールとして組み込まれているゲームではこの理論を活用するのは難しくなることを付け加えておく。


追記

この記事が最も役に立つのは、決勝でも勝率が50%を超えることが期待されるような上級者か、予選の時点で50%も勝てない頭わるわるプレイヤーのどちらかである。なぜなら決勝に近づくにつれ、勝率は下降していくことが予想されるからである。例えば予選で勝率53%のようなプレイヤーは、分散の小ささが予選では功を奏したが、決勝Tでは勝率が50%を切り逆効果になってしまったというようなことが起こり得てしまう。


追記2

幾何平均勝率の最大化は1試合ごとの勝利数を最大化するわけではない。
算術平均勝率の最大化が勝利数を最大化する。
よって予選で同じ4勝1敗なら勝利数や敗北数をみて予選突破者を決める、というような大会ではこの点を注意しなければならない。


補足:
勘違いする人もいるかと思うので補足として述べておくが、1本勝負の場合、勝率の分散はほぼ「どうでもよく」、算術平均勝率のみが重要である。これは前の試合と次の試合とがほぼ独立しているからである。よって1本勝負の場合、安定しているデッキのほうが優勝の確率が高くなるなどということはいえない。「ほぼ」とつけたのはトーナメントの場合前の試合と後の試合とで勝率算出における母集団が異なるからであるが、このような事まで考えるのは複雑すぎて面倒なためやめておく。

第2回おやつCS使用デッキ

4【サイバー・N(エヌ)・ワールド】
4【アクア・サーファー】
4【霞み妖精ジャスミン

4【エナジー・ライト】
4【超次元シューティング・ホール】
3【スーパー炎獄スクラッパー】
4【超次元ストーム・ホール】
4【フェアリー・ライフ】
4【マナ・クライシス】
4【焦土と開拓の天変】
1【スーパーバーストショット】

2【ブーストグレンオー】
3【ガイアール・カイザー/激竜王ガイアール・オウドラゴン】
2【時空の支配者ディアボロスZ/最凶の覚醒者デビル・ディアボロスZ】
1【超時空ストームG・XX/超覚醒ラスト・ストームXX】

第2回おやつCS

使用デッキ 蟲蟲ランデスカイザー

予選
一回戦 根暗 ○
先行で初手が青単 次のトップも青
ライト3ひいてたから一応安定はしてライトライト焦土
ジェニー連打されるもカイザーでビート
帝ガンヴィートも別にあんま怖くなかった
・N・出して殴って勝ち

二回戦 根暗 ○
先行 ライフマナクラ焦土・N・ 相手行動なし さすがに勝ち

三回戦 4cランデスいりラストストーム ○
ランデスうってN出してカイザー追加してビート
たえてラストだされるもトップサーファー
最後相手がファイナルストームサーファーで、ストームホールからガイアールでて殴られるも炎獄トリガーして勝ち

3−0盾10の2位突破

決勝トーナメント
一回戦 ドロマー ○
相手事故っててさらにランデスで行動縛る
・N・だしてからぶんぶん

二回戦 グレイトフルホーガン ○
ランデスで緑破壊してホーガンを出させない
ブーストされて8マナいっちゃったからランデスすててストームホールでディアボロ
相手ホーガンだすもめくれたのがバルピィのみ
返しに覚醒させてディアボロスとサーファージャスミンで殴って勝ち

三回戦 赤緑速攻 ○
後攻 相手ブレイズからシシマイ こっち2ターンライフ
返しにあいて2体展開後ブレイク ここでライフがトリガー
こっちシューティングでガイアールだしてシシマイ殴ってエンド
返しにあいてダルマンディはって、こちらのブーストグレンオー読みを崩してくる
4枚目でライフトリガー 祈りながら最後の盾みるとサーファートリガー
返しにストームホールガイアール 6打点つくったので総攻撃 トリガーなしで勝ち

四回戦 ホーガン(害悪ゴーゴン型)×
こちらライフマナクラするも次ターンから動けそうなカードがシューティングホールしかなくビートへシフト
ガイアールだしてなぐるとサーファー 相手青銅エンド
次ターンガイアールだしてビート 相手5マナで破壊されるカードないとおもってるとへヴィでてくる
ここからこっちのトップが弱くガイアク出されて死亡

結果 BEST8

使用デッキ

『Mロマ』
Mロマ
4 x 進化の化身(エボリューション・トーテム)
4 x 天真妖精オチャッピィ
2 x 大神秘イダ
3 x 停滞の影タイム・トリッパー
3 x 威牙忍ヤミノザンジ
4 x 超次元バイス・ホール
4 x 福腹人形コダマンマ
1 x 邪神M(マッド)・ロマノフ
4 x 超次元ボルシャック・ホール
1 x 腐敗勇騎ガレック
4 x 超次元シューティング・ホール
4 x フェアリー・ライフ
2 x デビル・ドレーン
1 x 時空の探検家ジョン/冒険の覚醒者ジョンジョ・ジョン
1 x 時空の支配者ディアボロスZ(ゼータ)/最凶の覚醒者デビル・ディアボロスZ(ゼータ)
1 x 時空の戦猫シンカイヤヌス/時空の戦猫ヤヌスグレンオー
1 x 時空の踊り子マティーニ舞姫の覚醒者ユリア・マティー
1 x 時空の喧嘩屋キル/巨人の覚醒者セツダン
2 x 時空の英雄アンタッチャブル/変幻の覚醒者アンタッチャブル・パワード
1 x 時空の火焔ボルシャック・ドラゴン/勝利の覚醒者ボルシャック・メビウス