中学生でもわかるTCGでの1本勝負とマッチ戦の違い

この記事は

http://d.hatena.ne.jp/snow-press/20180102

で書いた内容を分かりやすくしたものです。
かなり分かりやすくしたつもりですが、これでも分からない場合これ以上の説明は難しいかもしれません。




突然ですが、


・どんなデッキにも4回中3回勝てるデッキA


と、


・デッキCには絶対勝てる、デッキDには半分しか勝てないデッキB


デッキCとデッキDに同じ数対戦するとしたらどちらが強いと思いますか?


「CとDに2回ずつ対戦するとしたら、Aは合計3回勝てて、Bは、Cには必ず2回勝てて、Dにも1回勝てるんだから同じじゃない?」


1本勝負なら確かにその通りです。
しかしマッチ戦だとこれは正しいとは言えなくなるのです。
計算は省略しますが、マッチ戦で勝てる確率は、デッキAの方がデッキBより9%くらい高いです。
(計算を見たい方は一番上にある記事をみてください)


これが何故なのかを考える上で一度、特定のデッキに絶対勝てる、つまり勝率100%のデッキというものについて考えてみましょう。
1試合で必ず勝てるのなら、マッチ戦でも必ず勝つことができます。
しかし考えてみてください。


「本当に勝率100%も必要でしょうか?」


もちろん、勝率99%よりかは勝率100%の方がよいでしょう。
しかし勝率100%ということは、必ず2回の勝負だけで終了することになります。
これってもったいなくありませんか?せっかく勝率が高いデッキを使っていて、
3回中2回以上勝てばいい「だけ」なのにも関わらず、残り1試合の機会をわざわざ無駄にしているのです。
勝率100%とまでは行かなくとも、勝率90%くらいあれば、運悪く一度負けることはあるかもしれませんが、かなりの確率で2回は勝てるはずです。勝率が100%のデッキに比べ10%もおちているにも関わらずです。
なのでこの勝率100%のデッキに対してちょっとくらい勝率が落ちても、他の勝率が高くないデッキへの勝率が上がるのなら、そちらの方が良いと思いませんか?
そちらの方が、"3回勝負"という点をより有効活用でき、マッチ戦で勝てる確率が上がると思いませんか?
このような理由から、"勝率"は、マッチ戦では一本勝負に比べると有効性が落ちるのです。


では、どのようにすればマッチ戦で勝てる確率が上がるのでしょうか。
先ほどの例では、勝率が100%のデッキに対して勝率を落とし、その分他のデッキの勝率を上げる方がいいと言いました。つまり、


勝率が上の方に対しては勝ちにくくし、下の方に対してはその分勝ちやすくする


ということです。
これの理想形は、どんな相手にも同じ勝率となることです。
つまり各デッキタイプに対しての勝率の"バラつき"(変動)が小さいほど、マッチ戦での勝率が上がるのです。
バラつきを小さくすることで、3回勝負という点をより有効に活用できるのです。
よって、どんなデッキにも4回中3回勝てるデッキAのほうが、相手によって勝ちやすさが大きく変動するデッキBよりもマッチ戦で勝ちやすいといえるのです。


この"バラつきの小ささ"は、3回勝負と5回勝負、どちらの方に対してよりマッチ戦の勝ちやすさに影響を与えるでしょうか?
1本勝負に比べ3回勝負の方が、影響度が大きいですから、同様に3回勝負より5回勝負の方が影響度が大きいはずです。
つまり、マッチ戦での試合回数が多くなっていくにつれ、"バラつきの小ささ"の重要度が増していくのです。


これを様々な戦略に利用することを考えましょう。
例えば
「あのデッキは勝てないし諦めよう。その分強いデッキにより勝てるようにしよう。」
という戦略について考えてみましょう。この戦略では、勝てないデッキにより勝てなくなり、強いデッキにより強くなってしまうので勝率のバラつきが拡大してしまいます。
よって1本先取に比べ、マッチ戦にはあまり適さないことになります。


逆に
「有利なデッキには腐ってしまうけど、苦手なデッキにも勝てるように、対策するカードを入れよう」
という戦略は、勝率のバラつきを小さくするので、よりマッチ戦に適した戦略と言えるでしょう。


もちろん、バラつきが小さくなるからといって、不利なデッキにちょっとしか勝率が上がらないのに、有利なデッキに対する勝率がガクッと落ちてしまうようではいけません。何事もバランスが大事です。


まとめると、マッチ戦では


「自分のデッキがどのくらい勝ちやすいのか?」


だけでなく、


「対戦する相手によって勝ちやすさがどのくらい変動するのか?」


が重要となるということです。


最後になりますが、以上の話は少なくとも自分が半分以上は勝てることが前提となっています。自分が半分も勝てないプレイヤーなら、むしろ"3回勝負"であることを相手に利用させないため、バラつきが大きいデッキを使った方が良いです。
ただ、こんなことを考えている暇があるのなら、まず50%は勝てるようになるよう努力したほうがいいかもしれません。
また、予選より決勝の方が勝つのは難しくなると考えられるので、予選の時点で半分よりちょっと勝てるくらいの人だと、この理論を用いることは難しくなってしまうのが分かるかと思います。


また、サイドデッキの存在する遊戯王のような、1試合目と2試合目以降でデッキの性質が変わってしまうようなゲームでは、条件を全く変えず2試合目以降を行うDMなどに比べたら、このような考え方を利用するのは多少難しくなってしまうと考えられます。